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一倉 宏

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2012/08/16 (木)
いったい日本はどうなるのだろうか

本日の毎日新聞夕刊2面「特集ワイド」は
「夏がくれば思い出す〜開高健さん」
巨匠みずから「傑作やで」と自賛されていた『夏の闇』(1971)について。
この特集記事の最後に、記者はこんなエピーソードを置きました。

 <一体日本はどうなるのであろう>
 作家は「夏の闇」の2年後、サントリー角瓶の宣伝で、
 こんなコピーを発表した。

なつかしい。かっこよかった開高さん。あのCM。
(厳密にいえば「開高さんのコピー」ではない、とおもうけど)

 世にも不思議なことがある
 どう考えてもわからない

 4年前には75センチのイトウが2匹
 それもたてつづけに釣れたのに

 今日は皆目ボウズなのだ
 オデコなのだ

 アラスカではナクネク川の恐怖
 アイスランドではラクサ川の奇跡
 西ドイツではバイエルンの戦慄と呼ばれたこの私に

 一匹も釣れないのだ

 1000円もするヘアトニックをつけてきたのに

 いったい日本はどうなるのだろうか・・・

世はオイルショック、狂乱物価、環境破壊、終末論の時代。
これぞ開高節、いいなあ。
時代を社会を鋭く刺しつつ、粋にいなした、この「暗喩」。

そうだ。開高さんの「絶望」のバネに学ぼう。
あれから、いつだって、なんとかやってきたぜ、日本は。