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一倉 宏

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2015/07/31 (金)
いろはにポエト 作品紹介
かな46文字を(重複することなく)使って、文をつくる。
現代の「いろは歌」をつくるこの試みを「いろはにポエト」と呼んでいます。
先日、京都造形芸術大院の特別講義でも紹介、作品を募集したところ、
たくさんの秀作が誕生しましたので紹介します。

  そと みちくさに ゆこう
  まて あめの けはい
  おせ しろきへや
  ひるねも わすれ
  ふたり ほんを よむ
  かえらぬ なつ

ストーリー展開があって、非常によくまとまっています。

  ふいによろけ てをとり
  わたしね ほおそめ
  あるく このみち
  やまも むらさき
  せんすは ゆうひ
  かえれぬ なつへ

これも「帰らぬ夏」のロマンチック。映像的です。「ほお」が惜しい!

  なつ せみ かに 
  へちま わたあめ
  しろくも うすれて ふねはゆき
  よる そら いぬ ほえ
  おとこ ひんやり さけをのむ

着地がきれいです。最期の1行が決まると、作品として成立しやすくなる好例。

  さかなやの むすこ
  つれぬ あゆ たちうお 
  ひらめ はも くえ
  いきしてみろと
  ほをそわせ まりんへ
  よふけに ねる

「さかな尽くし」はよいアイデア。ユーモアもただよう作品です。

造形大院には留学生たちも多く、彼らにはむずかしい課題だったでしょう。
それでも興味をもってくれて、完成度の高さも予想以上でした。

  おはよう あさ なかぬとり ゆらせ
  こにちは ひる きみも えんそくへ
  ほつけの めし ふろをいれて
  やすむ またね

ある一日のストーリー。「こにちは」は、巧まぬユーモアに。
後半の2行には、日本らしい生活感がただよって、感心しました。

なお、インドネシアからの留学生に、ジャワ語にも「いろは歌」に似た
「ホ・ノ・チョ・ロ・コ」の歌があると教示されたのも収穫です。