blog ブログ

一倉 宏

Back Number
2012/10/17 (水)
幻のマッシュルームホテル

ロビーにあるラウンジは「SPORE〜スポア」
「胞子」という意味だ

国際きのこ会館
INTERNATIONAL MUSHROOM HOTEL

あれは いいホテルだったよ
きのこ好きには たまらないホテルだった

ぼくたちの部屋は 「まつたけの間」で
そのとなりは たしか「なめたけの間」だったか

ゆかたから ふすまの引手まで きのこ柄
お風呂は きのこ風呂 美容によいエキス入り

庭園内には 椎茸観音もあって
お望みなら 結婚式だってできた
菌類の神様に 誓って

夕食は もちろん きのこのフルコース
前菜から汁物 仕上げのメインは 原木つき椎茸
それをちぎって 炭火で焼いて 

なぜ「きのこ」かといえば ながくなる
その話はむかし 国語の教科書にも載っていた (*)

あれは めったにないホテルだった
G県はK市 郊外の小高い丘の上にあった

マッシュルームの幻想でも 妄想でもない
嘘だとおもうなら 「検索」してごらん

幻だったら むしろよかったのに
秋がくるたび あのホテルがもうない という
胞子のようなさみしさを 味わうことがないのに

  * 森産業〜まっしゅROOM/Dr.MORI