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一倉 宏

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2016/06/14 (火)
「ソフィスティケーション」という問題
サントリー株式会社(当時)には「コピーライター職」の募集があった。
選考は2回の作文審査だけでした。あとは、社長面接。
課題のひとつは「ソフィスティケーションについて」書け。それだけ。
しかも、これ、毎年同じ。繰り返し、それが出題されていた。
1)詭弁。詭弁を弄すること。
2)しゃれていること。都会的で洗練されていること。
辞書的に、つまり常識的には、そういう意味のことば。
・・・について、何を書くか?
古代ギリシャのソフィストから説き起こす。sophiaの語との関連を述べる。
それが入学試験とか、何かの資格試験とかだったら、十分だったろう。
正解、模範解答があるような、選抜試験だったら。
しかし、この「出題者」がそれを求めていないのは、明らかです。
問うているのは、きみは「ソフィスティケーションについて」どう思うか。
それを、どう「ソフィストケートされた」文章でいえるのか。

この、伝統の問題の考案者=出題者は、ほぼ、間違いなく
かつての(旧・壽屋宣伝部)コピーライター、開高健さんだと思うのです。

開高健