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一倉 宏

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2012/10/04 (木)
嵐のつぎの朝 〜枕草子より

こどもの頃、台風や雷が、けっこう好きでした。
学校は休みになり、早めに店じまいして、家に閉じこもる
あの「非日常」な感じが・・・。

 
  嵐のつぎの朝 

 それは嵐の つぎの日の朝
 こころ騒ぎて あはれをぞ知る

 窓も垣根も 乱れたり
 庭の植え込み 苦しげに
 大きな樹さえ 倒れるとは
 小枝も吹き折れて ここに散る
 萩 女郎花
 かよわきものたち
 思わぬことなり 胸痛む

 木の葉吹き込む 窓格子
 風のしわざと 覚えれど
 黄と茶の織物 薄き夏服
 美しいひとよ 眠れぬ一夜
 母屋より 出でて 
 長い髪 風に
 ふくらます 美しいひとよ

 十七 八の 少女には
 大人たちの 振る舞いが
 ふと羨ましく 裾翻ひるがえす
 美しいひとよ 薄色のひとよ
 涼しの一重に
 包まれしひとよ 
 嵐のつぎの日
 この世界 見つめるひとよ

上田知華/作曲、組曲「枕草子」より。
「野分のまたの日こそ」(第200段/岩波文庫)として
教科書にも載っていた有名な段です。
「枕草子」の中でも、もっとも詩的で、美しい一節を
上田知華さんのメロディに重ねました。(未発表曲です)