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一倉 宏

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2013/12/10 (火)
2013年の師走に 祖母よ

祖母はつよかった。
しなやかにつよかった。
明治37年日露戦争の年に生まれ103才まで生きた。

結婚相手は村いちばんの馬乗りの近衛騎馬兵だった。
けれど軍隊の話より浅草の映画の話が好きな男だった。
そういう夫が好きだった。

強権と恫喝が大嫌いだった。
謙虚であり信条があり矜恃があった。

夫と街に出て街ではいちばん古くからの飲食店を営んだ。
PTAやら同業組合などの役を断らなかった。
祖父亡きあと川っぷちあたりの風俗的同業者に対峙して
嫌な思いをしたことだってあるだろう。
けれど威圧にも多数にも阿(おもね)ることはなかった。
微笑みを絶やさずに毅然とし
言うべきことははっきりと言うひとだった。

先の福田康夫元首相のお父さんの福田赳夫元首相の信奉者だった。
地域の後援会の婦人部のなにがしかの役だった。
熱心な自民党の支持者だがリベラルだった。

祖母と福田さん

99才になっても新聞を読んでいた。

祖母よ。
おそらくあなたがいちばん嫌いな法案が
いちばん嫌いなやりかたで可決しました。

すぐにでも喧嘩をしたがるやつと
ほんとうに喧嘩がつよいやつとは、違うだろう?

ねえ、おばあちゃん。

 

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