穂村弘の歌集『手紙魔まみ、夏の引越し(うさぎ連れ)』。 「手紙魔」という言葉は、まだどこかに生きているかなあ。絶滅危惧種。 1970年代のティーンエイジャーは「文通」なんてしてた。 便箋にペンで字を書いて、封筒に入れて切手を貼って、ポストに投函。 返信が来るのは、数日後とか、数週間後とか。 そんな時代のともだちから、何十年ぶりの手紙が届く。 それはメールじゃなくて、やっぱり手紙で。 憶えている。はっきりと。 その「文字」はそのまま、懐かしい人柄のまま、憶えている。 便箋の文字のならびには、まるで息づかいのように、そのひとがいる。 そのことにも驚く。「紙の文字」は、どれだけのことを伝え、 記憶にとどまる「情報量」を持っていたのか、と。 TCC、コピー年鑑の審査で、グラフィックの作品をどう扱うか。 データによるWEB審査でよしとするか、否か。意見は分かれている。 いつのまにか、そんな時代になっている。