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一倉 宏

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2010/01/11 (月)
「夢」という「ことば」

東京FMの番組「 TOKYO COPYWRITERS’ STREET 」
今月のお題は「夢」でした。

美しくも儚くもあり、誠でも偽りでもある・・・
あまりに<多義的>な、そのことばをテーマとして。

  夢を話せば

             ストーリー 一倉宏
           出演 坂東工 & 西尾まり 

 <男>
 君だって 夢みていただろう いつもいっていた
 夢のない男はいやだ 夢をもてない男に興味はない

 <女>
 その夢から 何年が経ったと思う?
 あなたは いまも夢の話ばかり いいえ 夢のような話ばかり

 <男>
 夢なんて 食べられないっていうんだろ
 そのとおり 夢を食べられるのはバクだけだよな
 飲みにいこうよ 「夢の扉」という あのBARへ
 僕の夢をグラスに おかわり自由の夢を いくらでも

 <女>
 そうやってまた 夢の話をするんだ
 私は あなたの夢に 酔いすぎていた
 それ以上に あなたはあなたの夢に 酔いすぎてしまう

 <男>
 あの日 君に出会えたことは 夢のようだった
 それでもいい足りない 夢の中でみる 夢のようだった

 <女>
 だとすれば この私は 夢の中の夢の女
 あなたが話すことは いつも 夢のまた夢

 <男>
 夢から覚めても それでもまだ 夢があるから
 そしてずっと 君は夢の女だ 僕にとって 

 <女>
 私の夢は あなたがもう 夢から覚めること
 そうしてもういちど ふたりの夢をみること 

 <男>
 僕はみるべきだろうか 君のみる その夢を
 夢を捨てる僕を 僕の夢を捨てて叶える 君の夢を

 <女>
 私は決して 夢のような日々を 夢みてはいない
 夢ではない夢をみたい ただそれだけ
 それでも夢だというの こんなにもささやかな夢を

 <男>
 僕の夢は 僕のみる夢を 君とみることだ
 君のみる夢を 僕もみることだ
 それが 僕らの夢だったじゃないか

 <女>
 あなたが夢をみているあいだに なんども朝がやってきた
 あなたの夢を覚まさないよう いつもそっと出ていった
 夢をみているあなたの寝顔が 私の幸せだったとしても

 <男>
 君の横顔は 夢のように美しい いまも

 <女>
 涙がでてきた 
 涙で曇って もうみえない 夢は

 <男>
 今夜は帰ろう 僕の夢の中へ

 <女>
 夢なら覚めて おねがい この夢は長すぎる

 <男>
 帰ろう 夢の中へ

 <女>
 こうして いつまでも私は 夢みつづけていくのか
 この長すぎる夢から 覚める朝を

 <男>
 信じないのか 僕らの夢を

 <女>
 信じてる 夢ではない あなたなら 

*1月7日放送。こちらから音声でお聞きいただけます。
http://tcss.seesaa.net/article/137590260.html