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一倉 宏

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2010/01/25 (月)
私の大発明 … と、思いきや

1999年のこと、
サントリー山崎の新聞広告に、こんなエッセイ風コピーを書きました。

 サイレンスを探して
 
 Seeking for Silence

  インターネットで検索しても、見つか
 らない。ぜひ手に入れたいものがあるの
 だが。それは「静寂」である。科学文明
 は、夜の部屋に明るさをくれた。夏に涼
 しさをくれた。ならば同じく、静けさを
 作り出すことはできないだろうか。
  「静音機」の発明。音の波形と逆の位
 相の振動により不快な音のエネルギーを
 打ち消します。最大有効減衰音圧マイナ
 ス50デシベル。スイッチを入れれば、
 高原の静けさが訪れます。寝室に、書斎
 に、そしてウイスキーのお伴に!
  街のノイズも家族の話声も消えて。染
 み透るような静寂。ピュアモルト山崎を
 楽しむ夜にまたとない。完璧な環境だ。
 耳も、鼻も、舌も、研ぎ澄まされて待機
 する。深いしじまに、カランと氷の鳴る
 音が・・・ 待てよ。その音はどうなる?

BOSE社の「ノイズキャンセリング」を知ったとき。
おお、ついにできたか! 私の夢想したあの大発明が!
と、思ったものですが。

「インターネットで検索」したら、すんなり出てきました。
「静音スピーカー」の原理はずいぶん前から知られていて、
「90年代には(ヘッドホン型が)すでに製品化」されていたそうです。