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一倉 宏

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2010/02/04 (木)
ワタシの文体練習 〜 村上訳「源氏」〜

もしも。
村上春樹さんが「源氏物語」を訳すとしたら。

  どの王の時代のことだったろうか。王を取り巻く女性たちのなかでも、
 それほど高い身分ではないのに、寵愛を一身に集めた方があった。想像
 してほしい。最初から自分こそはと期待した姫たちはどうにも面白くな
 いし、それ以上に、同じくらいか、それより身分の低い者たちはいっそ
 う嫉妬する。そういうものだ。毎日の勤めに出ても、不愉快そうな視線
 に取りかこまれ、恨みを向けられた痛みが積もり積もったせいだろうか、
 だんだん病弱になってゆき、理由もいわず実家にひそむことが多くなっ
 ていった。王はますます憐れに思い、周囲の目も気にせず、ご自分の気
 持ちを抑えることができない。それは、後の時代まで語り草になりそう
 な愛し方だった。あの、中国の詩人の、ブルースのように。

つづきが読みたいじゃないか・・・。