かつて「一倉クラス」(坂本や岩田純平などが在籍)の
掲示板に書き込んだメッセージです。
すこし昔話をしよう。
私がまだ幼い頃にも
ささやかながらクリスマスプレゼントはあった。
こどものくせに この世には
「科学的」と「非科学的」があるらしいとわかっていたので
サンタクロースにお願いをした記憶はない。
それでも
もしも私が一年間いい子でいたのなら
もしかして「あの」プレゼントが手に入るのではないかと
淡い期待を抱いていたように思う。
私は毎年すこし失望をし すこし自己嫌悪に陥り
そしてだんだんあきらめていった。
ひとは
「もらったプレゼント」の多くを忘れてしまうだろう。
私はまだその
「もらえなかったプレゼント」のことを憶えている。
私は執念深いたちではない。
ただあのときのクリスマスの朝の気持ちは
ひっそりと憶えている。
いまはなんだかそれも
私の人生へのプレゼントって気がするのだ。
昔 朝日出版社「週刊本」のシリーズで
「ユーク <ある日曜日午後7時のちいさな国>」という
おとぎ話を書いた。(絶版在庫なし)
それはいくつかのレトリックで組み立てた
架空の国のお話なのだが
その国ではひとびとは別れの挨拶でこう言うのだ。
「コンプレックスを大事にしなよ」
誤解のないようにもうひとつ付け加えておく。
このおとぎ話の主人公である<僕>のコンプレックスは
○ン○ンが異常に大きいことなのだが
最後に <ことばを失った>ガールフレンドが
ことばを取り戻して言う。
「前から教えてあげたかったのだけど
あなたのコンプレックスって
あなたが思っているほど大きくはないわよ」
どうぞこの二重のレトリックが
伝わりますように。
ではみんな
よいクリスマスを。