「 NEWS 23 」の特集を観て。
かつての、ANAさんの中国キャンペーンの仕事を思い返します。
「 高速中国ANA 」( 2003 〜 )
「 LIVE/中国/ANA 」( 2005 〜 )
時々に、逆風が吹く中での仕事でした。
かの国からの留学生と知り合いだったことが
予見を排して、コピーを書くちからとなりました。
2005年の「 広告サミット 」〜「 LIVE/日本/2005 」に寄せたことば。
上映は短縮版でしたが、その初稿として書いた長いバージョン。
#1
中国人留学生のFは、
いまから8年前に
日本へやってきた。
#2
Fは、
中国でも指折りの
進学校をでた秀才で、
#3
日本での受け入れ先は、
いっちゃ悪いが、
地方の無名大学だった。
#4
学校が用意したアパートは、
2人相部屋で、
エアコンがなかった。
#5
Fは、
失望し、文句をいった。
#6
日本の学生寮に
エアコンがないとは、
Fは想像もしなかった。
#7
この話に、
深遠な教訓はない。
#8
ただ、
#9
当時、
すでに中国は、世界一の
エアコン生産国だったこと。
#10
そして、
#11
日本人にせよ、
中国人にせよ、
#12
自分が他者より
「エライ」と思い込むことが、
すごくカッコ悪い、
ということだ。
#13
(5秒間 無地)
#14
Fはその後、
東京で大学院に進み、
この春、
日本企業に就職した。
#15
少女の頃から憧れた、
ある化粧品メーカーに。
#16
中国人留学生Fは、
夢を果たした。
#17
それは、
個人の努力と
幸運の結果だ。
#18
(5秒間 無地)
#19
念のために
付け加えておこう。
#20
Fのように、
日本に憧れを抱いて
アジアからやってくる
留学生は少なくない。
#21
彼らのその後は、
どうだったか。
#22
もちろん、
個人の努力も、
幸運も不運もある。
#23
しかし、
それだけではない。
#24
先頃の反日デモを
ネットで呼びかけた
リーダー格のひとりも、
#25
かつて、
日本に留学していた。
#26
彼も、失望し、
#27
屈辱を受け、
#28
そして、孤独だった。
#29
このことの教訓は、
軽くないと思う。
#30
(5秒間 無地)
#31
歴史に
教訓があるように、
#32
小さなエピソードにも、
きっと教訓があるだろう。
#33
あなたは、
#34
かつて
東京の片隅で、
#35
ひどく孤独な
アジア人留学生を、
見たことがないだろうか?
#36
いまから
100年前のロンドンの、
私たちの夏目漱石が、
そうだったように。
#37
(しばらく 無地)
#38
LIVE/日本/2005
#39
(しばらく 無地)
#40
music ACROSS ー楼蘭の少女ー by amin
励まされたのは、Fのこんなことばでした。
「 中国の若者は(教育の影響があるから、表向き)日本に反発する。
だけど、ほんとうは、日本のこと、好きだよ。」