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一倉 宏

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2011/01/19 (水)
辞書を引きながら「荒地」を

現代詩の(20世紀の)最高傑作といわれる
エリオットの「荒地」( The Waste Land )。

高校生の頃、訳詩を読んでもなかなか胸に沁みなくて
自分の読解力に自信をなくしたりして。
原詩をたどたどしくたどってみたら
「なんか、かっこいい」と思えたのも
あれは、単純に「韻」の響きに、だったかもしれない。

 APRIL is the cruellest month, breeding
 Lilacs out of the dead land, mixing
 Memory and desire, stirring
 Dull roots with spring rain.
 Winter kept us warm, covering
 Earth in forgetful snow, feeding
 A little life with dried tubers.

そうだ、それで辞書を引き引き、自分で訳してみたんだ。
たぶん、こんな感じで。自分に、わかりやすく。

 4月はいちばん残酷な月だ
 死んだ土からリラの花を 咲かせ
 記憶と欲望を ごちゃまぜに
 怠けた根っこを春の雨で 掻きまわす
 冬は僕らを暖かく かくまい
 地面を忘れっぽい雪で 覆って
 乾いた球根の小さな命も 養っていた

でも、やっぱり、韻のかっこよさまでは、無理で。
それから、ほぼ20年後に、はじめて「作詞」したとき
こっそりと、日本語で韻を踏んでみたのでした。