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一倉 宏

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2011/02/22 (火)
ナンセンス詩 〜 ことばの駄歌詩

種村季弘『ナンセンス詩人の肖像(増補版)』筑摩書房1977(旧版は1969)
こんな名著が絶版なんて・・・もったいない。
種村先生ですから、なかなか歯ごたえのある文体ですが。
収録された作品例がまたすばらしい、ことばの宝箱。

触発されての「数詩(すうじ)」を、ひとつ。

  零になるまで

 0時を過ぎて夜空を見上げ
 もしも僕が1羽の鳥で
 2枚の羽根をもってたら
 3丁目3番地の3
 4階建てのあのマンション
 5階に住む君のもとへと飛んでゆく
 6角形のギターを抱えて
 7弦でつま弾くボサノバ
 それは8度のハーモニー
 9小節めで宙返り

 十分じゃないか

 九回裏の大逆転
 八方塞がりの恋だけど
 七月七日の七夕に
 六度目の正直ってこともある
 五色の虹を渡って飛んでゆく
 四半世紀も好きだった
 三時の昼飯も抜いていい
 二人といない 君だから
 一人を愛そう その君を

 零になるまで