TCC広告賞展のトークイベントの準備で
「コピーライターとしての経歴上、ターニングポイントになったもの」
を紹介したい、という問い合わせがありました。
で、いろいろ思い出して。
ターニングポイント。
いまに至る「きっかけ」。
それは、コピーライターになるより
ずっとずっと昔の話だけれど。
70年、渋川高校に入学して、文芸部というサークルに入って。
(映画「マイ・バック・ページ」で松山ケンイチが演じたような)
先輩たちに「詩と革命とSEX」の話の洗礼を受けていた頃。
(あくまで話の次元、そういう頃)
隣の渋川女子高の文芸部のメンバーと話す機会があり
(当時は、その交流自体が、彼女たちにとっては「校則違反」だった)
同い年の女子たちから、こんなことを言われました。
「萩尾望都、大島弓子、樹村みのりを読んでみて」
誰それ? 詩人? 小説家?
で、まず、借りて読んだのが『ポーの一族』。
それからまもなく、エドガー・アラン・ポーにもはまり
それからさかのぼって、日本にも「ゴシックロマン」の妖花
上田秋成『雨月物語』があることに衝撃を受けた17才の頃。
でもやっぱり、きっかけは『ポーの一族』でした。
それは「詩」の概念をひろげた、と(かっこよく言えば)思う。
それから、詩も、サブカルも、広告も、等価に思えるようになった
・・・という意味で、冒頭の話に(婉曲ながら)つながります。
このストーリーを、自分としてはひっそりと
「メリー・ベルと銀のばら」(『ポーの一族』より)への
オマージュとして書いたつもりだったのに。
ゴシックでも、バンパイアでも、ファンタジーでもなく。
なのに、ナカヤマサチコさんが、『ポー』も『トーマの心臓』も演じた
石飛さんをキャスティングしてくれたのは・・・
すべて見抜かれていたのかと、びっくりしたことでした。