9月1日発刊の同書(宣伝会議)より、その1ページを紹介します。
たまたま私がコメントを担当した、仲畑さんのこの作品。
坂本龍一「戦場のメリークリスマス」のためのコピーでした。
異常も、日々続くと、
正常になる。
これはもう、コピーなんだろうか。確かにコピーとしてこの世には
生まれてきたけれど、それも短い期間に露出したものに違いないの
だけれど、この、永続することばの力は、いったい何なんだろう。
あの頃よりも、もっといまのほうが刺さるんじゃないかと思えてし
まうほどだ。いや、「ほど」じゃない。それは事実だ。格差社会も、
自殺の多さも、財政の巨大赤字も、そしてさらには、放射線量まで
も、このことばが言い当てたとおり、「異常」はいつのまにか「当
たり前」の顔をする。このことばが、まるでアフォリズム、警句と
しての命をもつのは、やはりそれだけ人間と社会を深く見つめたこ
とばだから、なのだろう。 (一倉宏)
じつは、本書のための選考過程はだいぶ以前に終わっていて
それからコメントを書き、各編著者に校正がまわっていたところで
震災がありました。・・・ということで、お察しのとおり
校正時に、一部の文言を書き加えたというエピソードがあります。