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一倉 宏

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2011/09/02 (金)
『日本のコピーベスト500』より

9月1日発刊の同書(宣伝会議)より、その1ページを紹介します。
たまたま私がコメントを担当した、仲畑さんのこの作品。
坂本龍一「戦場のメリークリスマス」のためのコピーでした。

  異常も、日々続くと、
  正常になる。

 これはもう、コピーなんだろうか。確かにコピーとしてこの世には
 生まれてきたけれど、それも短い期間に露出したものに違いないの
 だけれど、この、永続することばの力は、いったい何なんだろう。
 あの頃よりも、もっといまのほうが刺さるんじゃないかと思えてし
 まうほどだ。いや、「ほど」じゃない。それは事実だ。格差社会も、
 自殺の多さも、財政の巨大赤字も、そしてさらには、放射線量まで
 も、このことばが言い当てたとおり、「異常」はいつのまにか「当
 たり前」の顔をする。このことばが、まるでアフォリズム、警句と
 しての命をもつのは、やはりそれだけ人間と社会を深く見つめたこ
 とばだから、なのだろう。 (一倉宏)

じつは、本書のための選考過程はだいぶ以前に終わっていて
それからコメントを書き、各編著者に校正がまわっていたところで
震災がありました。・・・ということで、お察しのとおり
校正時に、一部の文言を書き加えたというエピソードがあります。