岸本佐知子編訳の『居心地の悪い部屋』が面白そうなので
床屋の帰りに書店に寄った。
見つからない。
好評につき品切れ中、と思うことにする。
それにしても。
このだだっ広い書店に「外国文学/単行本」のコーナーは
わずか半間ほどの棚に過ぎない。
それから。
他の目当ての新刊2冊を探して島々を歩き回ったけど
2冊とも見つからなかった。
まるでミステリーだ。
平積みの新刊書や雑誌や新書がささやきかける。
「もっと成功したくないか?」
「うまくやってお金を貯めたくないか?」
「プレゼンの達人になりたくないか?」
「世界を操る陰謀を知りたくないか?」
「その汚い部屋を片付けたくないか?」
ぼくはだんだん「居心地が悪く」なってきた。
だから
文庫の棚から
梶井基次郎の『檸檬』を抜き取って平積みの上に置き・・・
そっと書店をあとにした。