サントリー株式会社(当時)には「コピーライター職」の募集があった。 選考は2回の作文審査だけでした。あとは、社長面接。
課題のひとつは「ソフィスティケーションについて」書け。それだけ。 しかも、これ、毎年同じ。繰り返し、それが出題されていた。
1)詭弁。詭弁を弄すること。 2)しゃれていること。都会的で洗練されていること。
辞書的に、つまり常識的には、そういう意味のことば。 ・・・について、何を書くか? 古代ギリシャのソフィストから説き起こす。sophiaの語との関連を述べる。 それが入学試験とか、何かの資格試験とかだったら、十分だったろう。 正解、模範解答があるような、選抜試験だったら。
しかし、この「出題者」がそれを求めていないのは、明らかです。 問うているのは、きみは「ソフィスティケーションについて」どう思うか。 それを、どう「ソフィストケートされた」文章でいえるのか。 この、伝統の問題の考案者=出題者は、ほぼ、間違いなく かつての(旧・壽屋宣伝部)コピーライター、開高健さんだと思うのです。