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一倉 宏

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2010/09/03 (金)
アカルサ と クラサ

一昨夜、村上ゆきさんとCMの音楽録りをしていて。
キーをどうするか、という検討のなかで。

ここのところ、もう何年も(ざっと20年もつづいている)この業界の
「クラクないか?」「もっとアカルクならないか?」というチェックが入って。
クライ、アカルイ、という、その単純なことばの不毛さを嘆く。

単に「アカルク」歌うことで失われる様々なニュアンス・・・
について、ゆきさんに実際に歌ってもらって、やっとみんな、わかったようで。
美は(神は)細部に、陰影に宿る、のだから。

もう、やめにしない?
その「アカルイ」「クライ」という尺度。
どんどん、ひとを「感じなく」させる、感受性のブルドーザー。

テレビで、CMで、「アカルサ」が「クラサ」を駆逐してきた時代。
それが、学校の教室でも真似されているんじゃないかと、心配する。
だとしたら、この業界の、僕らの責任も大きいのだから。

 平家ハ、アカルイ。
 アカルサハ、ホロビノ姿デアラウカ。

太宰治『右大臣実朝』のなかの名言を思い出します。