10月33日
ベランダの窓を開けたら、冷たい秋の風が入ってきた。 秋の風は、その前は、うんと上空にいたのだという。 上空で、雲を作っていたのだという。 それから、いわし雲やうろこ雲の形而上的な芸術的価値について語った。
風の話はおもしろかった。 けれど体が冷えて、何かあたたかいものを飲みたかった。 わたしはキッチンへ行き、 マグカップをふたつ手にして戻り窓を閉めたら、 ぱたりと風は死んでしまった。