秋には、春にも夏にも冬にも、ないものがある。
それは、こころ。
秋に心と書いて「愁う」という漢字ができたのは、
秋だけに、こころがあったから。
ひとの心の移ろいを、よく理解したから。
秋がどことなくさびしいのは、きっとそのせい。
けれど、秋は、よいこともした。
クラシック音楽の世界には、
秋をイメージさせる
美しい名曲であふれている。
ビバルディや、ショパン、
マーラーに、シューマン・・
どの作曲家たちも、その愛好家も、
秋に、とても感謝したにちがいない。
※この原稿は、TBSラジオ『村上ゆきのスローリビング(毎日曜 18:00〜)』番組冒頭で、過去に放送されたものです。