忘れないで とあの町で 彼女は言った 忘れられることが いちばん こわいのだと
わかったと うなずいた後で なぜそんなことを言うのだろうと 考える
忘れられることは さみしい それから 忘れられるということばは 忘れてしまう側からは ぜったいに発信されない どうしようもない深い悲しみを背負っている 苦しくて とても重い
あの日から だれもが そのどっちかに 身を置くことになった
かかわりの大小もあるだろう けれど 忘れるはずなどないと
だれもがそう言う いまだから