小説家という職業を名乗るひとに会った。
人生ではじめて会った小説家が
そのひとでよかったと思えるような
たたずまいの、ひとだった。
私たちはなぜか、それぞれが
与えられたいくつかの言葉の中から
ひとつだけ好きな言葉を選ぶのだけれど
あなたの選んだものとわたしのが
密かに同じだったことがうれしかった。
それから、すこし勇気を出して。
あなたの本をわたしはよく読んでいて、
それが書くことが好きで書いていることが伝わってくるものだから、
わたしもくさるのをよして、また書きたくなります。
そんなふうにいったら、とてもうれしそうに笑った。