駆け出しのころ。
「コピーライターです」と人前で言えるほど
たいした仕事もしてなかったころは、
職業を名乗る気恥ずかしさも手伝って、
仕事は広告関係だと言うと、よく職業をまちがえられた。
多いのはデザイナーで、ときどきカメラマン。ごくまれに美術さん。
どれもかっこよくて、うれしかったけど、そうでないと訂正すると・・・
「ええっ。コピーライターなんですか?!」
「あっ、コピーライターさんなんですね」
「へえ、コピーライター」
「あ、はじめまして」
と、だんだんまわりのリアクションが
年を追うごとに変わっていって
あるときからそう驚かれなくなった。つまらない。
職業が板につくと、コピーライターの顔になるものなのかもね。
という視点で、業界ン十年の先輩たちの顔をしみじみと想像した。
わりと真面目なやくざ(心根はいいひと)っぽくていいな、と思った。