10代で読んだものはそう多くはないけれど、
そのほとんどが、もうとっくに死んだだれかのものだった。
ただことばが並んでいるだけなのに、
それはとても きれいだった。
それはとても よくわかる ものだった。
声に出してよんだりもした。
こんなみごとなことばの「ならび」を、
このひとは、いったいどこからつかまえて、きたんだろう。
さぞかしすてきなひとだったんだろう。
こっちの、ひともまた、きっとそうだったにちがいない。
少女の私は、そんなふうに思うだけの日々だった。
やがて、私はそれを知ることになる。
ある日ふと手にした本の中に。
インナーネットの画像検索の先に。
あるひとは、まがったキュウリで、
またあるひとは、ちょっとシャクレていました。
このひとが、こんな顔じゃこまるんです。
うそ、まさか。できれば一生知らずに生きていたかった・・・。
ひとはほんとうに、みためが9割なのだろうか。
だとしたらわたしは「あなたのことばのみため」が、すきだったのか。
うそだ、わたしはあなたをすきだったはずなのに。