道をあるいていたら、 谷川俊太郎さんの「側(がわ)」がおちていた。 わたしはあまりの珍事に、おそれおののき、 それから誰もいないことを確認してすばやく その「側」を、いそいそと着てみた。
ぬらっとしていた。 けれど、それはたしかに、谷川さんの「側」だった。
暗転 (第一幕 終わり)