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坂本 和加

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2011/02/24 (木)
千夜一秒物語 13sec.

春の準備をしなければと、
クローゼットの奥のほうにしまっておいた
ブラウスを取り出したら、
よく目立つところに「かなしみ」がついていた。

クリーニングには出したけれど、
そのときは気づかなかったのだろう。
クローゼットの中でその「しみ」は
そっと輪郭を深くしていた。

たぶん、もう落とせない。
でも、もう着ることもないだろう。
けれど、なんとなく捨てるには忍びなくて、
また元の場所にもどした。

かなしみとは、そういうもの。