子どもを育てているから、
言葉の獲得がどんな風であったかを目の当たりにできる。
それがすごくおもしろい。
はじめに、聞くこと。たくさん繰り返されること。
いちばん多く繰り返されるのは、自分のなまえ。
「なゆちゃん」は、自分のこと。ごはんは、「おいしい」。
理解より、発語の方はずっと後だ。
多くの子どもの、さいしょのことばは、ワンワン。
4つ脚の生きものは、猫もゾウも、みんなワンワン。
くり返し伝え直されて、猫はニャーニャ。ゾウは、ゾウになる。
むずかしい言葉の並びは、1語で話す。
「ご」は、りんご。「み」は、「耳」「みかん」「紙」・・・。
耳に残る音を、見たままに話す。
だんだん、1語から単語になっていく。1語文になる。食べ物の名前はよく覚える。
「はい」や、「やだ」も覚えていく。
そのうち、思ったことを話すようになる。
そのほとんどが伝わらなくて、やきもきする。
2語文になる。「おとーさん いない」そんな風に。
色の名前、数の概念。文字というものも、なんとなくわかってくる。
大きい小さいや、左と右、そんなことも。
プチトマトの「ホネ」は、へたのこと。魚の「たね」は、ホネのこと。
間違えながら、覚えていく。
何かを伝えたくて、覚えていく。
すごいなあと思ったのは、
街を歩く犬、大きいのや小さい犬、見た目がはげしく異なる犬、
Eテレに出てくるワンワン、えほんの犬、グーフィーもプルートも、
みんな、同じ「犬」なのだと、理解していること。
あとで本を読んだら、「同じ」という概念は、人間にしかないそうだ。