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坂本 和加

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2011/05/19 (木)
あのときのぼくらにできたこと

あの直後から

なんどもなんどもつながらない電話をかけ続けて
亡くなられたひとの名がテレビで流れるたびに
そこに名前がなかったことに胸をなで下ろし、
ダイジョウブ、ダイジョウブと自分で自分を励ますけれど、
やはりちいさな覚悟をすべきかもしれないと
ときどき泣きそうになりながら、ほうけたような
長い長い数日間を過ごしていたわたしは。

なにかをせずにはいられないと、
ただちに集まり、手を動かしていたひとたちを
うらやましくも否定的に思っていたのはほんとうだ。

それから、運良く家族の無事がわかって
それどころじゃなく なくなった、ようやくのいまごろに、
それが正しいとか間違っている すごいとかすごくない とかじゃなく、
「そういうなにかの動き」が、あのとき必要だったんだとわかった。
ような気がする。

そのくらいたいへんなことが起きたから、
まず、まだだれかを励ませるひとが、
だいじょうぶでなければならなかった。

その「だいじょうぶ」は、
このちいさな島国だけの、
汎用性もなく不便でわかりやすいとはいえない
この世界でたったひとつの言葉を
同じように話せる仲間からでないと
きっとダメだったように思うから。ありがとう。