blog ブログ

坂本 和加

Back Number
2012/05/09 (水)
死語参り

最近いいコピーが書けないなと思ったので、死語参りにでかける。
死語たちの石碑は、多摩川霊園の端っこにある。
明治の初め、言文一致運動が盛んになりだしたころ、
言語学者たちにより建てられたという大きな石碑には、
「南無阿弥陀仏」と彫られてはいるが、
場所柄それが死語たちのためのものだということは
たぶんほとんど知られてはいない。
裏側には、死語となった言葉たちが年を追ってびっしりと刻まれている。

弁当男子は、まだ死語未満ということで、赤字。
チョイ悪、チョベリバ、コギャルは、白字。
つい最近まで使われいたと思っていたけれど、
すっかり苔ばんでいるものもある。
ほかには、とっぽい、バイビー、ロートル、すかんぴん・・・
シャボン、メリケンとつづき・・・、よしんば。
「よしんば」が、ひときわ太く濃く刻まれているのは、
使われた時間が長かったからだろう。
よしんばのところで、はがゆくせつない気持ちに
なるのはいつものことなのだが、すぐに気を取り直して
やっぱりこれは恥ずかしくて使えないな、音もヘンだし・・・、
などといろいろ妄想がとまらなくなりニヤニヤ。

日も暮れたので、どうぞみなさん
安らかに死につづけてください、とお参りして帰る。
もちろん、ここに来たからといって、
いいコピーが浮かぶわけではありません。