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坂本 和加

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2012/12/18 (火)
ハサミのおけない美容師

よく行く美容室には、
スタイリストのランクというものがあって、
その日は「梅」のひとにお願いてみることにした。

梅の彼は、指名に張りきったようすで、
しかし慎重にパチンパチンとカットをはじめた。
じっくり、ていねいすぎるくらいに。
その間に、髪はどんどん短くなっていって、
やっと終わったと思ったら、ドライして。またカット。
ドライして、セットして、またちょっとカット。
結局、彼は1時間半ちかく、ハサミをもったままだった。

梅であれ、松であれ、仕事を任されるのはうれしい。
けれど経験と自信のなさが、ハサミを持つ時間を長くする。
すこし寒くなった襟足をマフラーで覆いながら、
それは駆けだしのコピーライターにも似ている、と思った。

でも・・・、いまもそうかわりないか。