切手を出さずに、ポストに投函してしまう。
ということを、じつはよくやる。悪意はない。
近ごろは運輸会社のメール便というものも便利で
つまり、封筒に切手をはらずに持ち歩くから。
ごめんなさい。
ところで。
切手を出さずにポスト投函すると、こんなことがおこる。
1.「切手を貼って、再度投函してください」と
書いた紙が貼られて、ある日、うちのポストに
配達員のいらだちとともに投函される
2.お届け先のひとが、わたしの代わりに請求される。けれど、
何かの時に思い出したように「切手代、払いましたよ」と言われる。
なにか「借り」をつくったような気持ちになる。
たいていの場合は、1。
こちらの住所が書いてなければ、2。
けれど、いちどだけ、あったんだ。
1でも2でもなかったことが。
たしか、それは実家の母に宛てた手紙だった。
「ねえ、あなた切手貼らないで出したの?」
それとも貼ったのに、はがれてしまったの?」
そんな電話が母からかかってくるまで、すっかり忘れていた。
いわれてみればたしかに、切手を貼った記憶がなかった。
けれど娘の手紙は、きちんと届いた。
「次回は切手をお貼りください」という
ちいさな手描きのメモが貼られて。
それからしばらく、
わたしは相手先にかかわらず
なんとなく少し多めの切手を貼って、
手紙を投函するようになった。
そしていまだに、
いちばん適切で正しい行いをしたのはだれなんだろう、
ということについて考える。