老人は、しばらくそのことばを眺めていた。 それから、こちらを振り返って 「いい、エンジンをつんでいますね」と、言った。 なるほど、こういう感覚を、そんな風にいうのかと わたしは感心して、改めてそのことばを眺めてみると、 ことはが風をきって走っていた。
「これなら、どこまででも行けそうです」 わたしは嬉しくなって振り返ったのだけれど、 そこには、とっくに老人の姿はなかったんだ。
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