筑波大学の集中講座で、今年も森川幸人くんと対談形式の授業を。 「ことばと アートと サイエンス」と題し、おもに人工知能の昨今の話題から。 電通が発表した「AIコピーライター」AICO について。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2017/0517-009291.html
https://dentsu-ho.com/articles/5128
ここで紹介されている、日本新聞協会の「新聞広告クリエーティブコンテスト」に 審査員として立ち会っていますので、すこしコメントします。 誤解を生むのじゃないかと思ったのは、AICOが「コピーを書いた」新聞広告が 「ノミネート16作品に入選」した、というところ。 これだと「AIが書いたコピーで、コンテストに入選した」ように読めますが。
http://www.pressnet.or.jp/adarc/adc/2016.html
それは、ちょっと違います。 応募作品は、AIが書いた膨大な数の「コピー」が並べられたもので 審査会では、「ことば」というテーマに合う、時代性もあって面白いから、という 理由で推挙され、最終選考に残った。そんな経緯があります。 「AIが書いたコピー」で選んだ、選ばれたわけではありませんから。 まあ、うまくAICO自身の「広告」に使ってるな、という印象ではあります。 それよりも、面白いと思ったのは。 「AIが、2万ものコピー案を出した」というところ。 それは、かなりハチャメチャ、ナンセンス、意味不明なものばかり・・・ そうでしょう。まだ、そういう段階なんでしょうね。 でも、これが自然言語として完璧で、常識的な文を書けるようになったら。 逆に、コピーライターとしては「つまらない」「脅威でない」と思います。 CDという立場からしても、月並み、常識的なコピー案ばかりより ちょっと外れた、普通思いつかない、そんな表現を見つけてくれた方が ずっと役に立つ、ジャンプするヒントになる。 AIとクリエーティブの「いい関係」は、きっとそのあたりにあるのでは・・・ 授業では、森川くんともそんな話をしました。 とはいえ、2万ものコピー案に目を通すのは、それだけで大変です。 そんな部下は(人間だったら)・・・怒りますね。いい加減にしろ、と。