10月は、日本新聞協会など、広告賞の季節でした。

ＴＣＣ（東京コピーライターズクラブ）の授賞式、および、

「コピー年鑑2015」の発刊記念パーティも、無事終了しました。

今年は、審査委員長を務めたこともあり、ほっとしました。

あらためて「年鑑」の意味を考えた一年でした。

巻頭のメッセージには、こう記しました。

　未来の読者へ。

そのとき、どこかのある書棚に、この「コピー年鑑」を見つけて扉を開

いたあなたは、西暦でいえば何年の、未来の読者なのだろうか。

唐突ながら、そんな想像をしてみる。

もちろん「新刊書」としてこの年鑑を最初に開くのは、2015年のいま

ここにいるあなたに違いない。けれど、書籍の生命は長い。少なくとも、

人間の寿命より長い。神田の古書店や大学の図書館にいけば、100年を

越える昔の書籍を手に取ることができる。紙の資料は1000年を越えて

読み返すことができる。この年鑑の読者は、きっと未来にもいる。

すでに応募も審査もWEBのちからを借りるようになったいま、ひとの

熱量も時間もかけて年鑑を発刊し続けることの意味を、会員、審査委員

の皆さんとともに考えたいと、メッセージを送った。いつかはデジタル

のアーカイブになる日が来るのだろうか。そのときに「コピー年鑑」は、

「TCC」はどのような存在になってゆくのだろう。

東京コピーライターズクラブは、1963年以降欠かすことなく年鑑を刊

行してきた。募集から審査、編集に関わるすべての人々の熱量によって、

今年も「コピー年鑑2015」が誕生した。53冊目の年鑑として。

最後に審査の感想をいえば、新しい風が吹いたと思う。そしてアナログ

で有限の情報量ゆえに、残念ながら掲載されない多くの秀作もありつつ、

ここに「コピー年鑑2015」という「紙の碑」が遺される。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　審査委員長　　　一倉　宏