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一倉 宏

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2014/05/07 (水)
『枕草子』をやさしくいえば

「なぜ、枕草子を歌に?」という質問に答えて。

簡単にいえば、好きだからです。
まるで「詩」のようだな、と思っていました。

私は、清少納言さんのファンです。
コンサートで一緒にお話しすることになっている
詩人のアーサー・ビナードさんもそういってました。

『枕草子』は不思議で、おもしろい作品です。
古語(千年前のことば)なので註釈は必要ですが
そこを補ったり要約したりして「歌詞」にしました。

清少納言さんの「好きなものリスト」があります。
「ことばの図鑑」あるいは「アルバム」を見るようです。
「ことばのスナップショット」とも呼びたくなります。

いま、女性たちがデジタル一眼カメラを構えて
「私の好きなもの」をブログやSNSに公開している。
そんな感覚にも近いと思う。

たとえば……
「山は」(第10段)
「海は」(第15段)
「家は」(第19段)
「草の花は」(第34段)というように。

「猫は、うへのかぎり黒くて、腹いと白き。」(第49段)
「背中がぜんぶ黒で、おなかだけ真っ白(がいい)」
なんていう、それだけの段もあって。
清少納言さん、好き嫌いがすごくはっきりしてる。

「おそろしげなるもの」(第140段)
トゲのある実とか草とか。それから、髪の毛の多い男子で
洗いっぱなしのボサボサ頭。お嫌いだそうです。

彼女は、なんでもはっきりいう。
そして、ポジティブ。そして、繊細。そして、明るい。

きっと、いまでも通じる美意識を感じます。
歌になった『枕草子』を、お楽しみください。