「なぜ、枕草子を歌に?」という質問に答えて。
簡単にいえば、好きだからです。
まるで「詩」のようだな、と思っていました。
私は、清少納言さんのファンです。
コンサートで一緒にお話しすることになっている
詩人のアーサー・ビナードさんもそういってました。
『枕草子』は不思議で、おもしろい作品です。
古語(千年前のことば)なので註釈は必要ですが
そこを補ったり要約したりして「歌詞」にしました。
清少納言さんの「好きなものリスト」があります。
「ことばの図鑑」あるいは「アルバム」を見るようです。
「ことばのスナップショット」とも呼びたくなります。
いま、女性たちがデジタル一眼カメラを構えて
「私の好きなもの」をブログやSNSに公開している。
そんな感覚にも近いと思う。
たとえば……
「山は」(第10段)
「海は」(第15段)
「家は」(第19段)
「草の花は」(第34段)というように。
「猫は、うへのかぎり黒くて、腹いと白き。」(第49段)
「背中がぜんぶ黒で、おなかだけ真っ白(がいい)」
なんていう、それだけの段もあって。
清少納言さん、好き嫌いがすごくはっきりしてる。
「おそろしげなるもの」(第140段)
トゲのある実とか草とか。それから、髪の毛の多い男子で
洗いっぱなしのボサボサ頭。お嫌いだそうです。
彼女は、なんでもはっきりいう。
そして、ポジティブ。そして、繊細。そして、明るい。
きっと、いまでも通じる美意識を感じます。
歌になった『枕草子』を、お楽しみください。