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一倉 宏

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2012/08/05 (日)
オリンピックと『体操詩集』

 僕は地平線に飛びつく
 僅に指さきが引っかかった
 僕は世界にぶら下った
 筋肉だけが僕の頼みだ
 僕は赤くなる 僕は収縮する 
 足が上ってゆく
 おお 僕は何処へ行く
 大きく世界が一回転して
 僕が上になる
 高くからの俯瞰
 ああ 両肩に柔軟な雲

たしか国語の教科書にも載っていた。
村野四郎『体操詩集』から「鉄棒 2」という有名な作品。

1939年、ベルリン・オリンピック(1936年)の頃の出版ですが
まったく古さを感じないのは、無駄のない即物的な表現によるでしょう。

こどもだった僕らの鉄棒体験といえば「逆上がり」くらいだけど。
その「快感」が、ことばでこんな風に「表現できる」という驚き。
それは、クラクラするような詩の体験でもありました。

内村航平の「見ている世界」を、村野四郎のように表現したら。
いったいどんな「鉄棒」がうまれるのだろう?

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