本日の毎日新聞夕刊2面「特集ワイド」は
「夏がくれば思い出す〜開高健さん」
巨匠みずから「傑作やで」と自賛されていた『夏の闇』(1971)について。
この特集記事の最後に、記者はこんなエピーソードを置きました。
<一体日本はどうなるのであろう>
作家は「夏の闇」の2年後、サントリー角瓶の宣伝で、
こんなコピーを発表した。
なつかしい。かっこよかった開高さん。あのCM。
(厳密にいえば「開高さんのコピー」ではない、とおもうけど)
世にも不思議なことがある
どう考えてもわからない
4年前には75センチのイトウが2匹
それもたてつづけに釣れたのに
今日は皆目ボウズなのだ
オデコなのだ
アラスカではナクネク川の恐怖
アイスランドではラクサ川の奇跡
西ドイツではバイエルンの戦慄と呼ばれたこの私に
一匹も釣れないのだ
1000円もするヘアトニックをつけてきたのに
いったい日本はどうなるのだろうか・・・
世はオイルショック、狂乱物価、環境破壊、終末論の時代。
これぞ開高節、いいなあ。
時代を社会を鋭く刺しつつ、粋にいなした、この「暗喩」。
そうだ。開高さんの「絶望」のバネに学ぼう。
あれから、いつだって、なんとかやってきたぜ、日本は。